Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
夜の花
一
そして三十分許りたった頃、いきなりバタバタと階段を降りる足音がして、靴を出してくれと、昂奮した女の声が聴えた。
「まア、そないお怒りにならんと、泊っとうきやす」
「履物どこですの……?」
「もう電車おへんえ。泊っとうきやす」
「帰ります。履物出して下さらないの?」
章三ははっとして廊下へ出て行った。玄関の女は振り向いた。視線が合った。
「あ」
女はいきなり、はだしのままで、玄関を飛び出して行った。――陽子だった。
夜の花
一
四条通りを横切ると、木屋町の並木は、高瀬川のほとりの柳も舗道のプラタナスも急に茂みが目立った。
田村の玄関をはだしのまま逃げ出して来た陽子は、三条の方へその舗道を下って行きながら、誰もついて来る気配のなかったのにはほっとしたが、章三を見た驚きは去らなかった。
「あたしはいつもあの男から逃げている!」
小石があるせいか一層歩きにくいはだしを、情なく意識しながら、陽子はつぶやいた。
陽子が東京の家を逃げ出して京都へ来ているのも、実は章三という男のせいだったのだ。
陽子の父の中瀬古鉱三は、毒舌的な演説のうまさと、政治資金の濫費と、押しの強さで政界に乗り出していたが、元来一徹者の自信家で、人を小莫迦にする癖があり、成り上り者の東条英機などを、政界の軽輩扱いにして、鼻であしらい、ことごとに反撥したので、東条