Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

八

北山は自分でも不思議なくらい荒々しい力で、いきなりカラ子の肩を掴んだ。その時、パーン、パーンと銃声が聴えた。

八

「花火だな」

と、北山はその銃声を遠い想いで聴いた。中之島公園は真中を淀川が流れ、花火を連想させる。げんに二月ほど前、この公園で水都祭が催され、お祭り好きがお祭り騒ぎの花火を揚げたのだった。だから、銃声とは聴かなかった。

「お、お、お前、京都から、お、お、おれをつけて来たんだろう」

なぜつけた――と、北山は昂奮に吃りながら、狂暴な力でカラ子の肩を掴んでいた。

「…………」

カラ子は咄嗟に返事が出来なかった。空襲以来こわい目には随分会うて来たし、こわい人間にも会うて来たが、しかし、北山の表情ほどこわいものを見るのは、生れてはじめてだった。声も出ず、カラ子はぶるぶるふるえていた。

「言ってみろ!」

北山は血走った眼で睨みつけながら、カラ子の肩をゆすぶった。ゆすぶられて、カラ子はふっと空を見た。降るような星空に、星が流れ、あえかな尾を引いてすっと消えた拍子に、カラ子は京吉を想い出した。

「兄ちゃん、あたい、こんなこわい眼に会うてるのよ」

何も中之島公園までつけて来なくても、途中交番の前を通った時、かけ込んで、あいつスリだと一言いえば、京吉の財布は戻った筈だった。