Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
六
、さアどうぞと別室の襖をあけてしまった。
行燈式のスタンド、枕二つ並んでいる。今見せてはまずい! と春隆が眉をひそめた途端、陽子はいきなり部屋を飛び出してしまったのだ。帰るきっかけをなくしかけていた陽子にとっては、女中が申し分のないきっかけを与えてくれたようなものだが、しかし、そのあとが……廊下の章三、はだし、巡査、留置場……。
「ああ、いやな土曜日!」
思わず額をおさえていると、
「姉ちゃん、飴あげよか」
チマ子がまた話し掛けて来た。
六
陽子はあきれてチマ子を見た。
兵児帯は留置される時に、取られたのであろう。だらんとはだけた浴衣の裾は立てた膝にまきつけていても、すぐみだれ勝ちになるのだが、それが案外だらしなく見えなかったのは、白粉気のない皮膚の清潔さと、青み勝ちに澄んだ眼の、怜悧そうな光のせいであろう。にやっと笑ってうかべたエクボには、あどけない少女も感じられた。
「こんな可愛いい子が……」
煙草や飴玉をひそかに留置場へ持ってはいっている大胆不敵さに、陽子は驚いたのだ。
「トラックに乗ってる間に、浴衣の縫込みへこっそり入れといたってン」
チマ子はペロリと舌を出して、素早く陽子に飴玉を渡した。