Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

五

「はい。おいやすどっせ。どちらはんどすか。――えッ、セント……? あ、セントズイス、セントズイスどんな」

「舌を噛んでけつかる」

と、グッドモーニングの銀ちゃんは笑いかけたが、無理に笑っているような感じであった。そして、

「――セントルイスならおれだ」

と、パイを伏せて腰をうかせかけたが、急にそわそわして、

「――いや、留守だといってくれ」

と、いつもの銀ちゃんに似合わぬ落ち着きのなさは、何としたことであろう。しかし、

「京ちゃん、あんたに……」

掛って来たのであった。銀ちゃんはほっとしたように、尻を落ちつけた。

「おれに……?」

と、京吉は長い睫毛を、音のするようにぱちりと上げて、

「――今日はおれいやに電話に縁のある日と来てやがらア」

パイを伏せて、わざと片手をズボンのポケットに入れながら、立って行った。

「京ちゃん……? あたし、判る……? おほほ……」

笑い声で、セントルイスの夏子だと判った。

「何でえ……? 電話ばっかし掛けやがって、株屋の番頭みてえに一日中電話を聴かされてたまりやせんワ」

「あら。お門違いよ。あたしは封切よ。誰かさんと誤解してるんじゃない。