Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
五
そんな気持が、京吉の放浪の決心を少し強めたのであろう。麻雀にはダンス以上に自信はあったし、それで儲けた金を旅費にしようとセントルイスを出た途端思いついてみると、何かサバサバと気持がよかった。
だから、靴磨きの娘を、アパートの入口に待たして置いて、ホールで顔馴染みの坂野をたずねて来たのだった。京吉の行く麻雀屋は祇園の花見小路にあり、アパートからは近かった。
「どうだ、痛くないだろう」
坂野は針を抜き取ると、ペタペタと京吉の腕をたたいた。
「痛いや。そら見ろ! 血が出てやがるぜ」
「血が出て痛けりゃ、鼻血が出せるか。――どうです、木崎さん。おたくも……」
「やって貰おうかな。眠気ざましに……」
木崎の腕に針がはいった時、
「木崎さアン、お電話ア……」
女中の声が廊下で聴えた。
五
名前は清閑荘だが、このアパートはガタガタの安普請で、濡雑巾のように薄汚なかった。おまけに一日中喧騒を極めて、猥雑な空気に濁っていた。
そんな清閑荘の感じを一番よく代表しているのは、おシンというその女中で、ずんぐりと背が低く「ガタガタのミシン」とかお化けとか綽名がついているくらい醜かった。