Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
二
早く来てくれぬと、スリが出てしまう。カラ子は何度も表へ出て、京吉の来そうな方へ遠い視線を送っていた。が、来ない。
「遅いなア。どないしたンやろか」
再びセントルイスへ戻って来たカラ子の心配そうな声をきいた時、一人の若い女がふっと顔を上げた。坂野の細君の芳子であった。
「遅い。本当に遅い。銀ちゃんどうしたんだろう」
と、芳子はつり込まれたように、にわかに不安になって来た。
二
三時に行くと銀ちゃんは言っていたが、もう四時をすぎている。狭い横町にあるだけに、セントルイスの店なかは、ただでさえ早い秋の暮色が、はやひっそりと、しかし何かあわただしく忍び込んでいた。
もしかしたら銀ちゃんは来ないのではないかという心配が、その暮色のように迫り、芳子は、昨夜銀ちゃんのアパートへ転がり込んで行った時の、銀ちゃんの迷惑そうな顔を改めて想い出した。
「あたしが来ては、迷惑なんでしょう……?」
「迷惑じゃないが、困るよ」
「あたしがきらいなんでしょう……?」
「きらいじゃないが、ここにいちゃまずいよ」
「それごらんなさい。きらいなんでしょう」
「…………」
坂野の手前困るんだ――という銀ちゃんの気持は、芳子には判らない。