Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
七
七
「木崎サン!」
陽子ははじめて木崎の名を口にして、
「――あなたはなぜ、わたくしを侮辱……」
しなければならないのか――という、あとの声はふるえて出なかった。
そんなに昂奮している状態が、陽子はわれながら情なかった。
「げすッ!」
と、いって一旦飛び出したのにおめおめと戻って来るなんて、自尊心が許さなかったが、しかし、やはり戻って来たのは、ただ、チマ子のことづけがあるためだけだろうか。
何か得体の知れぬものが陽子を引き戻したのではなかろうか。しかし、それが何であるかは、陽子には判らない。
「侮辱なんか僕はした覚えはない」
木崎はぽつりといった。
「――あなたは勘違いしているんだ」
「じゃ、どうしてあんなことをおっしゃるんです」
「…………」
「あなたは、なぜダンサーという職業を軽蔑されますの……?」
「軽蔑はしていない。しかし、もし軽蔑しているように聴えたとしたら、それは……」
僕があなたを好いているためだ――といいかけた時、天井から蜘蛛がするすると陽子の頭の方へ降りて来た。
木崎はいきなり手を伸ばして、蜘蛛を払おうとした。
陽子はぎくっと身を引いた。
「蜘蛛です」