Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
「茉莉があんたを借り切るって、一体何のこと……?」
と、京吉の長い睫毛の横顔を覗きこんだ。
「昨日の昼間、おれ京極で、ひょっくり茉莉と会ったんだよ。茉莉ベソをかいてやがったから、だらしがねえぞ、ゴムまりが泣くぞ。こう言ってやると、奴さん、いきなりおれの手を掴んで、――おれ、照れたよ。京極の真中だろう……?」
「ふーン。で……?」
「京ちゃん、明日あたいと踊ってくれ、明日だけは誰とも踊らずに、一晩中あたい一人と踊ってくれ――と言うんだ。じゃ、踊ってやらア。その代り、明日、おれ茉莉ン家で泊めてくれるかい。――うん、泊めてあげるッてんで、借り切られたんだよ」
「あんた、茉莉が好きなの……?」
「好きでもきらいでもないよ。好きな女は一人だけいるが、口がくさっても言えない」
京吉はふと赧くなった。陽子も耳を赧くして、
「じゃ、どうして茉莉の所で泊るの……?」
「だって、今日――つまり昨日の明日の今日は土曜日だろう。おれは土曜の晩は泊る所がねえんだよ」
「あらッ、どうして……? 土曜日の晩……」
茉莉のことを訊こうとしているうちに、いつか京吉のことを訊いている自分の好奇心を、陽子はわれながら、はしたないと思った。