Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
五
あ、そうだと、京吉はセントルイスを飛び出した。カラ子もついて飛び出して来て、
「あっちよ」
と、河原町通りの方へ歩いて行くスリを指した時、芳子がバタバタと出て来た。そして血相をかえて、木屋町の方へ小走りに行こうとする――のを、京吉は、
「どこへ行くんだ……?」
と、とめた。
「余計なお世話よ。どこへ行こうと……」
あたしの勝手よ――と、いわんばかしに突っぱなしたそのいい方には、祇園荘へいるとにらんだ銀ちゃんに会いに行こうとする女の思いつめた激しさが読み取れた。
「おい、ちょっと待った」
「はなしてよ!」
「いや、はなさねえ」
「やぶけるわよ!」
「ねえ、待ってくれよ。祇園荘に行くんだろう……? ねえ、おれ頼むよ。行くのかんべんしてくれよ。ねえ、芳ッちゃん!」
「芳ッちゃん、芳ッちゃんって、お安くいわないでよ」
と、いわれながら、京吉はしかし、ねえ、たのむよ、と、だんだん甘えるような哀願的な声になっていた。
そして芳子をひきとめながら、ひょいと振り向くと、もうスリは河原町通りへ姿を消していた。同時にカラ子の姿も見えなくなっていた。
五
四条河原町の三味線屋の飾窓の中に、委託品として陳列されているスリービーのマドロスパイプを吸口の所だけ照らしていた落日の最後のあかりも、市電を待っているうちにいつか消えてしまい、黄昏がするすると