Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

七

歩いていることが怖くなり、北山は祇園荘へ飛び込んだ。マージャンは戦地でならったことがある。マージャンで時間をつぶして、セントルイスへ行った。が、その娘はいつまで待っても来なかった。その娘が昨夜、仏壇お春たちと一緒に検挙されたとは、むろん北山は知らなかったのだ。

いらいらと待っていると、いきなり、

「おれはこんな所でボヤボヤしていてもいいのやろか」

という焦躁が、蛇のように頭をもたげて、北山の右の手首へからみついた。スリ、悪事、手繩! 気の小さい男だった。北山はソワソワとセントルイスを飛び出し、京都駅行きの電車に乗ったのだった。

そして、女への未練と、一刻も早く京都を逃げ出したい気持を、二本の電車線路のように感じているうちに、電車は駅前についた。

駅前の広場を横切る北山の足は速かった。カラ子はハアハア息をはずませて、チョコチョコついて行った。

七

改札口をはいって階段を登ると、狭い通路を繩で仕切った中に、旅行者の群が陰欝な表情を無気力にうかべて、しょぼんとうずくまっていた。誰も立っている者はなかった。

引揚者だろうか。それとも、汽車がはいるまで、その薄汚い通路で鈍い電燈のあかりを浴びながら、何時間も待たされているただの旅行者だろうか。