Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

「芳ッちゃん、そんなに言うなよ。芳ッちゃん泣くと、おれ困るよ」

「じゃ、どうすればいいの……?」

「おれ知るもンか」

坂野のアパートへ帰れとも言えなかったし、といって、グッドモーニングの銀ちゃんの所へ行けとも言えなかった。しかし芳子は、おれ知るもんかという京吉の言葉に、ぷイと腹を立ててしまうほど、ヒステリックな女になっていた。

「あ、芳ッちゃん、どこへ行くんだ」

待ってくれと、京吉は肩を並べて歩き出したが、歩いているうちに、芳子の方が、

「どこへ行くの……?」

と、きいてきた。

「どこだか、おれ知るもンか」

あてがなかったのだ。そのうちに夜が来て、雨が降り、京極の知合いの店で、半時間たったら、返しに来るといって、借りた一つの傘の中に、もう四時間もはいっていた。

「ほんとに、あたしどうしたらいいの……?」

「おれ知るもンか」

「どこか、泊るところあるの……?」

「おれ知るもンか」

やがて、もうそんな話よりも、ダンスだとか映画だとか、とりとめない話をしながら、あてもなくトボトボと歩いていたが、しまいには話の種もつきて、黙々と白い雨足を見つめながら、惰性のように歩いていた。