Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

二

陽子は、死んだ八重子に似ていたのだ。だから、陽子を撮ろうときめて、陽子の美しさを追うたのだが、旅館のホールで八重子の姿態を醜いとしか見られなかった木崎の、嫉妬の眼は、陽子の美しさに反撥して、どんなポーズも男にひきずられる女の本能の、あわれな醜さに見え、空しく三日通ったあげく、

「よしッ! こうなったら、もうあの女の一番いやらしいポーズを、撮ってやれ!」

そんな自虐の快感に燃えて、シャッターを切った途端、茉莉が……。

倒れたその姿に投げたのは、ホールへの諷刺だ。歪んだ昂奮に青ざめて、やがて木崎は四条通りを円山公園の方へ、歩いて行った。

そして、祇園の石段を登って行くと、暗闇の中から、いきなり若い娘が飛び出して来た。

二

「おっちゃん、煙草の火貸してんか」

ドスンドスンと歩いていた木崎の前に、娘はバスガールのように足をひらいて、傲然と立ちはだかった。

声も若かったが、木崎がライターの火をつけると、まだ大人になり切らない娘の顔が、ぱっと白く浮び上り、十七か八であろう。

しかし、娘は三十芸者のように、器用に火をつけて、

「おっちゃん、どこまで行きはるのン……?」