Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
しかし、彼女にとって幸か不幸か、この潔癖を満足させてくれるような男は、ついぞこれまで一人も現れなかった。
すくなくとも、田村へ来る男は、一人ではめったに来なかった。表向き料理店だが、その実連れ込み専門の貸席旅館だから、女を連れずに来る男もいなかったわけだ。
貴子は大阪で経営していたバーが焼けてしまうと、一時蘆屋の山手のしもた家で、ひそかに闇料理をしていたのだが、終戦と同時に、焼け残った京都という都会に眼をつけて、木屋町の廃業した料亭のあとを十五万円の安値で買いとった。
そして、改造費や調度家具類に二百万円を投じて、どの部屋にも鍵つきの別室がついているという構造と、数寄を凝らした装飾、一流料理人を雇った闇料理、朝風呂、夜ぬいだワイシャツは朝までに洗いプレスするというサーヴィスで、田村の看板を出した。
敗戦後の京都の、いかにも女の都、享楽の町らしい世相を見ぬいたこの敏感な経営法はたちまち狙いが当って、木屋町の貸席や料亭は、すっかりこの大阪の資本に圧されてしまったのを見ると、貴子の水商売への自信は増すばかりで、丙午の運の強さも想い出されたが、しかしバーの時と違って、このような田村へ来る客は、宴会を除いてはみな女づれだ。