Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

七

しても、ドジ踏めへん」

「あんた泥棒したの……?」

「うん、下手売ったワ」

と、与太者の口調になって、

「――監獄にいたはるお父さんを助けたげよ思って、娘が泥棒するなんテ、トックリ味噌つめるより、まだ阿呆や。けど、壺がなかったから、トックリにつめな仕様がない」

「一体、何を盗んだの……?」

「写真機!」

「ふーん」

陽子はふと木崎を想い出し、そこが留置場だということをいつか忘れていた。

「あんまりええ写真機持っとるさかい、こんなン盗んだったかテ構めへんやろ思って、アパートまでついて行って、笑って来たってん。ほな、掴まってン」

「笑う……?」

「笑ういうたら、盗むこっちゃ」

そして、ケタケタとチマ子は笑った。

七

「喧しいな。ええ加減におしやす」

長い体を持て余して、窮屈そうにゴロンゴロン寝ていた痩せぎすの女が、チマ子の笑い声に眉をひそめた。

留置場の鈍い灯が、左の眉毛の横に出来たコブを、青く照らしている。そのコブがゴム脹だとすれば、もういまわしい毒が末期へ来ているのかも知れない。

水銀を飲まされたようなしわがれた声で、

「――豚箱へはいって、面白そうに笑う人がおすか。――喧しゅうて眠られへん」