Classici giapponesi con furigana
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どようふじん
土曜夫人
織田 作之助
Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate
八
「――ほんまに、うちのような娘を持った親はえらい災難や」
その言い方にみんな笑った。お春も笑いながら、よれよれの背中を向けて、横になったが、留置場の床の痛さに骨ばった自分の体を感じた途端、お春はふと母親を想った。母親はもう七十、あと三年ももつまいが、しかし、自分の体が稼げなくなる時は、それよりも早く来るのではなかろうか。
女が女である限り、どんなに醜くても、汚くても、たとえ五十を過ぎても、男相手に稼いで行ける――というお春の自信も、病気のまわった体を思えば、にわかに心細い。
「みんな、わてみたいになるンどっせ。しまいには、骨だけしか売るもンがない」
あーあとお春も奇妙な溜息をついたが、もうだれも笑わず、何かしーんと黙って、うなだれてしまった。
チマ子はしかしキラッと眼を光らせて、いきなり陽子の耳に口を寄せて来た。
「姉ちゃん、うちの頼み、きいてくれはる……?」
八
「きいてあげてもいいわ」
陽子は、チマ子のささやきを耳になつかしく感じながら微笑した。
「兵児帯のおチマ」と名乗る不良少女などにふと、男心めいたなつかしさを抱くとは、留置場にいれば人恋しくなるせいだろうか。