Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
地勢を見るに、ここは広宗地方とちがって、いちめんの原野と湖沼だった。
敵は、折からの、背丈の高い夏草や野黍のあいだに、虫のようにかくれて、時々、猛烈な奇襲をしてきた。
「さらば。一策がある」
玄徳は、関羽と張飛に、自分の考えを告げてみた。
「名案です。長兄は、そもそも、いつのまにそんなに、孫呉の兵を会得しておられたんですか」
と、二人とも感心した。
その晩、二更の頃。
一部の兵力を、迂回させて、敵のうしろに廻し、張飛、関羽らは、真っ暗な野を這って、敵陣へ近づいた。
そして、用意の物に、一斉に火を点じると、
「わあっ」
と、鬨の声をあげて、炎の波のように、攻めこんだ。
かねて、兵一名に、十把ずつの松明を負わせ、それに火をつけて、なだれこんだのである。
寝ごみを衝かれ、不意を襲われて、右往左往、あわて廻る敵陣の中へ、投げ松明の光は、花火のように舞い飛んだ。
草は燃え、兵舎は焼け、逃げくずれる賊兵の軍衣にも、火がついていないのはなかった。
すると彼方から、一彪の軍馬が、燃えさかる草の火を蹴って進んできた。見れば、全軍みな紅の旗をさし、真っ先に立った一名の英雄も、兜、鎧、剣装、馬鞍、すべて火よりも赤い姿をしていた。