Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(一)

吉川 英治

Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate

Aozora Bunko

駒は血を浴びてなお狂奔をつづけていた。

すると、一叢の木蔭に、ざわざわと人影がうごいた。

「あっ、曹操だっ」と、いう声がした。

それは徐栄の兵だった。徒歩立ちで隠れていたのである。一人がいきなり槍をもって、曹操の馬の太腹を突いた。

馬は高くいなないて、竿立ちに狂い、曹操は大地へはね落された。

徒歩兵四、五人が、わっと寄って、

「生擒れっ」とばかり折り重なった。

仰向けに仆れたまま、剣を抜き払って、曹操は二人を斬っただけで、力尽きてしまった。

落馬した刹那に、馬の蹄で肋骨をしたたかに踏まれていたからだった。

時に。

曹操の弟曹洪は、乱軍の中から落ちて一人この辺りをさまよっていたが、異なる馬の啼き声がしたので、

「や。……今のは兄の愛馬の声ではないか」と、馳けつけてきて、月明りにすかしてみると、今しも兄の曹操はわずかな雑兵輩の自由になって、高手小手に縛められようとしている様子である。

「くそッ」

跳ぶ如く馳け寄って、一人を後ろから斬り伏せ、一人を薙ぎつけた。驚いて、逃げるは追わず、すぐ兄の身を抱き上げて、

「兄上っ、兄上。しっかりして下さい。曹洪です」

「あ、おまえか」