Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
そのうちに車駕の列が蜿蜒と通って行った。
――見れば、金華の車蓋に、珠簾の揺れ鳴る一車がきしみ通って行く。四方翠紗の籠屏の裡に、透いて見える絵の如き人は貂蝉であった。――貂蝉は、喪心しているもののように、うつろな容貌をしていた。
ふと、彼女の眸は、丘のすそを見た。そこには、呂布が立っていた。――呂布は、われを忘れて、オオと、馳け寄らんばかりな容子だった。
貂蝉は、顔を振った。その頬に、涙が光っているように見えた。――前後の兵馬は、畑土を馬蹄にあげて、たちまち、その姿を彼方へ押しつつんでしまった。
「…………」
呂布は、茫然と見送っていた。――李儒の言は、ついに、偽りだったと知った。いや、李儒に偽りはないが、董卓が、頑として、貂蝉を離さないのだと思った。
「……泣いていた、貂蝉も泣いていた。どんな気もちで塢の城へいったろう」
彼は、気が狂いそうな気がしていた。沿道の百姓や物売りや旅人などが、そのせいか、じろじろと彼を振向いてゆく。呂布の眼はたしかに血走っていた。
「や、将軍。……こんな所で、なにをぼんやりしているんですか」
白い驢を降りて、彼のうしろからその肩を叩いた人がある。