Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(一)
吉川 英治
Leggi 三国志(一) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.
N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 309.839 caratteri · 622 schermate
残念でならないのです」
母は、子を叱るために励ましているわれとわが声に泣いてしまって、袍の袖を、老いの眼に当てた。
「……お忘れかえ、阿備。おまえのお父様も、お祖父様も、おまえのように沓を作り蓆を織り、土民の中に埋もれたままお果てなされてはいるけれど、もっともっと先のご先祖をたずねれば、漢の中山靖王劉勝の正しい血すじなのですよ。おまえはまぎれもなく景帝の玄孫なのです。この支那をひとたびは統一した帝王の血がおまえの体にながれているのです。あの剣は、その印綬というてもよい物です」
「…………」
「だが、こんなことは、めったに口に出すことではない。なぜならば、今の後漢の帝室は、わたし達のご先祖を亡ぼして立った帝王だからです。景帝の玄孫とわかれば、とうに私たちの家すじは断ちきられておるでしょう。……だからというて、お前までが、土民になりきってしまってよいものか」
「…………」
「わたしは、そんな教育を、お前にした覚えはない。揺籃に入れて、子守唄をうとうて聞かせた頃から――また、この母が膝に抱いて眠らせた頃から――おまえの耳へ母はご先祖のお心を血の中へおしえこんだつもりです。