Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Leggi 三国志(五) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 325.249 caratteri · 653 schermate
いや怖ろしい猛者ではある!」
そういって、驚嘆している傍らから、突然、夏侯覇という一大将が、
「何をばさように恐れ給うか。曹軍の麾下にも張飛以上の者あることを、今ぞ確とご覧あれ」
と喚きながら、馬の蹄をあげて、だだだだっと、橋板を踏み鳴らして、張飛のそばへ迫りかけた。張飛はくわっと口をあいて、
「孺子っ。来たかっ」
蛇矛横にふるって一颯の雷光を宙にえがいた。
夏侯覇は、とたんに胆魂を消しとばして、馬上からころげ落ちた。その有様を見ると、数十万の兵はなお動揺した。曹操も士気の乱れを察し、にわかに諸軍へ、
「退けっ」
と、令して引っ返した。
退け――と聞くや軍兵はみな山の崩れるように先を争い合った。ふしぎな心理がいやが上にも味方同士を混乱に突きおとしてゆく。誰の背後にも張飛の形相が追い駆けてくるような気がしていた。鉾を捨て、鎗を投げ、或いは馬に踏みつぶされ、阿鼻叫喚が阿鼻叫喚を作ってゆく。
そうなると、実際、収拾はつかないものとみえる。曹操自身すら、その渦中に巻きこまれ、馬は狂いに狂うし、冠の釵は飛ばすし、髪はみだれ、旗下どもは後先になり、いやもうさんざんな態であった。