Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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さんごくし

三国志(五)

吉川 英治

Leggi 三国志(五) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.

N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 325.249 caratteri · 653 schermate

Aozora Bunko

「あっ。誰が、そんなことをお耳へ入れましたので」

「国老に訊いてご覧なさい」

と、母公は眼できめつけた。

呉夫人のうしろへ来て立っていた喬国老は、

「そう御母子のお仲で争うことはないでしょう。もう国中の人民も知っていることですから。わしもそのため、お慶びを申しあげに来たわけじゃ」

と、うららかに胸を伸ばして万歳の意を表した。

孫権は、難渋した顔いろで、

「いや、そのことなら、実はすべて周瑜の謀略なのだ。いま荊州を取らんには、またぞろおびただしい軍費と兵力を消費せねばならん。偽って婚礼と号し、玄徳をわが国へ呼び入れて、これを殺せば、荊州は難なく呉のものとなる。それゆえに、呂範をやって……」

云いかける口をおさえて、

「聞く耳は持ちません!」

と、呉夫人は前にも増して怒り出した。そして口を極めてその計を誹った。

「憎や、周瑜ともある者が、匹夫にも劣る考え。おのれ、呉の大都督として、八十一州の兵を閲、君の大禄をいただきながら、荊州を攻め取るぐらいなこともできず、わらわの最愛な息女を囮にして玄徳を誘い、騙し討ちに殺して事を成そうとは……ええ、なんたる無能ぞ。わらわの生きている間は、決して彼女をそんな謀略の囮に用いることは許しません」