Classici giapponesi con furigana
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さんごくし
三国志(五)
吉川 英治
Leggi 三国志(五) (さんごくし) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N1. Tocca una parola per il significato.
N1 · avanzato · kanji e kana moderni · 325.249 caratteri · 653 schermate
「誰か」と、たずねた。
玄徳が、これはわが家臣、常山の趙子龍と答えると、母公はまた、
「では、当陽の戦いに、長坂で和子の阿斗を救ったというあの名誉の武将か」と、いった。
「そうです」とうなずくと、母公は、彼に酒を賜えとすすめた。趙雲は拝謝して杯をいただきながら、玄徳の耳へ、そっとささやいた。
「ご油断はなりませんぞ。廻廊の陰に、大勢の伏兵が隠れている気配です」
「…………」
玄徳はしばし素知らぬ顔をしていたが、母公の機嫌のいよいよ麗わしい頃を見て、急に杯をおいて、憂い沈んだ。
母公は怪しんで、理を訊くと、玄徳は鳳眼にかなしみをたたえて、
「もし私の生命をちぢめんと思し召すなら、どうか明らさまに剣をお与え下さい。廻廊の外や、縁の下には、ひしひしと、殺気をもった兵が隠れているようで、恐ろしくて杯も手に触れられません」と、小声で訴えた。
母公は、愕然として、
「呉侯。あなたですか。そんな企みをいいつけたのは」
と、孫権を顧みて、たちまちけんもほろろに叱った。
孫権は、狼狽して、
「いや、知りません。呂範でしょう」
「呂範をこれへお呼び」
「はい」
しかし、呂範も、強情を張って知らないで通した。