Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

メチルとは知らずに売ったが、それでも人が死ねばやはり過失致死罪なのだろう、やがて投獄される憂目に会うたが、今はそれに脱走という罪が二重に重なって、おまけに拾った財布の金を無断で使っている。

五条を過ぎると、急に雨だった。銀造の体が急に重くなったように、俥の歩みが遅くなった。さっと風が来て、横なぐりの雨を幌の隙間から吹きこんだ。

幌につけたセルロイドの窓に雨滴が伝わり、四条通りの灯りをチラチラと流すと、やがて車は四条小橋から木屋町へ折れた――その途端、銀造ははげしい欲情を感じた。

引揚者のわびしさも、脱走者の焦燥も、貴子への恨みも恥も外聞も忘れて、ただ貴子の白い肉体へのもだえに揺れているうちに、やがて俥は田村の玄関についた。

さすがに敷居は高かった。女中に会わせる顔もなかった。が、思い切って勝手口からはいり、女中にきけば、

「ママはお留守どす。いま、東京へ立たはりました」

「チマ子は……?」

「こないだ(この間)からお居しまへんのどっせ」

家出したらしいと、軽口の女中がペラペラと喋るのをききながら、魂が抜けたように料理場でぺたりとへたり込んでいると、貴子がいない失望よりも、家出したチマ子への心配が銀造をぽうっとさせ、いきなり十も老けてしまった。