Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

陽子は思わず京吉の立っているホールの入口の方へ、気を取られたが、春隆は急にまたターンしたので途端に見えなくなった。

春隆はやはり陽子が狼狽したのをみると、

「もうこの女はおれのものになったも同然だ」

という想いのズボンを、陽子の裾にさっと斬り込ませながら、鮮やかにターンして、

「君は、中瀬古さんのお嬢さんでしょう……?」

「違います」

「いや、隠してもだめです。妹の卒業アルバムで、僕は君の写真を見ましたよ」

「…………」

「学習院で妹と同じクラスだったそうですね」

「たぶん、他人の……」

「……空似だなんて、随分君らしくもないエスプリのない科白ですね。どうして君は……」

と、またくるりと廻って、

「――そんなに隠すんです。もっとも僕が新聞記者なら、隠す必要はあるかも知れない。君のお父さんはとにかく政界の第一人者ですからね。その中瀬古鉱三の令嬢が十番館のダン……」

「誰にもおっしゃらないで! お願いです」

「じゃ、やっぱし……」

そうだったのかと、春隆のトロンと濁った眼は急に輝いた。そして、何思ったのか、

「――僕あした東京へ行きます」

ぽつりと、連絡のない言葉を言って、陽子の耳を見た。