Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

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どようふじん

土曜夫人

織田 作之助

Leggi 土曜夫人 (どようふじん) di 織田 作之助 (おださくのすけ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 106.903 caratteri · 213 schermate

Aozora Bunko

「明日はスタンダールで来い」

と、言われると「赤と黒」の二色のイヴニングで現れたり、

「今日は源氏物語よ」

と、紫の無地の着物で来たりするくらい、文学趣味にかぶれていたが、彼女がパトロンに選んだ姫宮銀造は、大阪の鉄屋でむろん文学などに縁のない男だった。その代り、金があった。貴子は銀造の子をうんだ。チマ子だ。貧しい家に生れて早くから水商売の女になった貴子は、美貌と肉体という女の二つの条件を極度に利用することを、きびしい世相に生きぬいて行く唯一の道だと考えていた。世の封建的な親達が娘の配偶者の条件に、家柄、財産、学歴を考えるのとほとんど同じ自己保存の本能から、貴子は男の条件をパトロンとしての資格で考える女だった。そして男を利用しながら、男を敵と考えて来た。

だから、チマ子をうんでも、うまされたと考えたのだ。しかし銀造はチマ子を可愛がったから、銀造の本妻が死んだ時、そのあとへはいれたのだが、銀造は既に破産していた。沈没船引揚げ事業につぎ込んで、失敗したのだ。

貴子に見捨てられた銀造は満州へ走り、その後消息は絶えたので、サバサバしていると、終戦になりひょっくり内地へ引揚げて来た。