Lettura giapponese

Classici giapponesi con furigana

ja-reading.com

Leggi i classici giapponesi online con furigana. Filtra per livello JLPT, tocca una parola per il significato e traduci una frase.

ずいひつ しんへいけ

随筆 新平家

吉川 英治

Leggi 随筆 新平家 (ずいひつ しんへいけ) di 吉川 英治 (よしかわえいじ) in giapponese con furigana. JLPT N2. Tocca una parola per il significato.

N2 · avanzato · kanji e kana moderni · 213.575 caratteri · 424 schermate

Aozora Bunko

――どうにもハガキ一枚書けない。

「みなさんがお待ちです」別室に卓をつないで、桟橋からのお顔大勢、食事を待っていてくれたらしい様子に恐縮する。この夜初めて、いやこの冬初めて、燈下に、九州名物の河豚を見る。東京を立つときから「九州へ行ったら」という約束のフグだけに、たとえば逢曳の彼女の常ならぬ薄化粧をまず見入る男の眼のごとく、いやしい味覚がそそられる。一は青磁の大皿、一は呉須赤絵の皿、それに白牡丹の一弁ずつを削いで並べたような透明の肉片のさざ波は、ちょっと箸で崩すのも惜しまれる。――と感想などを楽しんでいるうちはよかったが、その晩、崩れたのはフグだけではない。

自然生態か、別府の夜はやはり別府の夜になってしまう。温泉地熱帯生理現象がやがてぼつぼつ酒間にわいてくる。西部出版支部長のHさんなど、この地帯の常住魚族としても恥じない風貌がある。鼻下の微髯をヒレ酒の露にぬらして、拈華微笑的なふくみ笑クボを大幅な顔にたたえるところ、たれかが「無尽会社の社長さん」と敬称したのをぼくも初めはほんとにしていた程である。また編集課長Iさんは、ほととぎす派の俳人ということだ。