후리가나로 읽는 일본 고전
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しんしゅうてんまきょう
神州天馬侠
吉川 英治
吉川 英治의 神州天馬侠(しんしゅうてんまきょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 511,765자 · 1011화면
そして、ひとりの男に、後ろからあぶない投げ槍をくわされたが、からくもかわして、すべり落ちるように、砦のおく、二の丸のうらへ降りた。
だが。
降りたとたんに咲耶子は、
「あッ――大へん!」
と、はじめて、まっくらになった、とおい眼下に気がついた。
いつか、あらゆる視界には、夜のとばりがおりていた。ただはるかな麓のほうに、野呂川の水の蛇の皮のような光と、やや東北によって、きわめてかすかな赤い空あかりをみとめることができる。そこはおそらく、武田家の旧領地、いまは、徳川家の代官支配となっている甲府新城躑躅ヶ崎の城下であろう。けれど、咲耶子をおどろかせたのは、水でもない、空でもない。
その甲府と小太郎山の中間あたり、すなわち釜無川のほとり、韮崎の宿から御所山の裾あたりにかけて、半里あまりの長さにわたっている、人である、火である、野陣の殺気である。
「見張りの者ッ――」
櫓をあおいで絶叫した。
「鐘を打て、鐘を打て! 番士、番士、門衛の番士たち! はやく貝をふいて武者だまりへ味方をおあつめッ――」
狂気のようになって、咲耶子は武者ばしりの柵際を呼びまわった。けれど、どうしたのか、オウ! といって物の具を引っかつぐ部下もなく、かんじんな櫓番のいるところさえ、無人のようにシーンとしている。