후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
全く、大西洋は広い。船や氷山は――如何に氷山が大きいと言っても――大西洋の大きさに較べればピンの先の何万分の一である。この二つが広い大西洋のまん中で偶然触れ合うということは、それこそ百万に一のチャンスで、先ず無いと言っていい。船長は発着の時間に責任をもって船を預かっているのだ。その船の名誉と会社の信用は、船長に強要して、人力の及ぶ限り、時間表に忠実であることを第一の義務とする。故に船長は、斯ういう場合、その百万に一の危険を冒し、警報を無視してフル・スピイドで進航する。タイタニック号のスミス船長が、其の朝急に異常な寒気が襲来したことによって、経験から、氷山が近いことを感知したに拘わらず、何ら警戒の手段を講ぜずに依然として全速力で航続したのは、些さかも乱暴として叱責さる可き性質のものではなく、恐らく十人の船長のうち九人は、このスミス船長と同じ措置に出たことであろう。そして、その、万善の策を採って衝突を免れ、その為め入港を遅らせた十人に一人の船長があったとしたら、必と彼は船客の時間を空費し会社の記録を傷つけたものとして非難の的となるに相違ない。と言って、それ程過重にタイム・テイブル厳守を船長に課する会社をも、責めることは出来ないのだ。