후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
ジョン・ジャコブ・アスタア氏は、十九歳の有名な美人との新婚旅行の途にあった。彼はその花嫁をボウトに助け乗せながら、
「さようなら、愛する妻よ。僕は船に残るが、君が助けられると同時に僕も助けられるだろう」
と囁いたが、それが最後の言葉になることは、アスタアも知っていた。彼は助かろうとは思っていなかったのだ。
船に居残った船客と船員は協力して、ひっきりなしに火箭を打ち揚げた。物凄い炸音が夜空を裂いて、遠く高く光の矢が走った。非常信号の一つである。流星のような光線が水に映えてその瞬間海上一帯は真昼のように明るかった。重油のような黒い水、その上を点々と遠ざかって行くボウト、ぎっしり詰った人々の影、そして巨大な船腹を天に聳やかしているタイタニック、傾ぎゆく甲板に押し並んだ死のように白い顔、顔、顔――蒼茫たる光野に一閃する海の地獄絵だ。が、このタイタニック号の狼煙を認めた通行船はなかった。火影を認めた船はあっても、狼煙とは思わなかった。
加奈陀の退役陸軍少佐でポウシェンという人が乗っていた。遭難と同時に船長が絶対の権威をもって役に立ちそうな男の船客に各受持ちを定めて命令を発したのだが、ポウシェン少佐は兵員陸揚げなどで経験があるというので、救命艇の一つを預かって避難者の積込み方を監督することになった。