후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
それに、一度水面に達すると、一時でも早く本船を離れたいのが人情だ。ボウトの漕ぎ手は多くの給仕や水火夫の下級船員で、権威をもって指揮する者の少なかったことも、手筈の違った一原因であろう。水に着くが早いか、ボウトは皆競争のように後をも見ずに漕ぎ去ったのだ。沈没と同時に生ずるであろう一大渦紋に吸い込まれる事を怖れたからでもあった。
灯の山のようなタイタニックから二十隻のボウトが散らばって往く光景は、斯ういう場合ではあるけれど、生存者の忘れることの出来ない壮観だった。空気が凝結したような、物の影の鋭角的にくっきりした美しい夜である。信じられない程滑らかな海、頭上に近く、千古の伝説のように明るく輝く星――そして甲板一杯に部屋部屋の電燈を見せて大きく傾ぐ城のようなタイタニック。真っ黒に集まる船客の群、走り廻る船員、器物が辷ってぶつかる音、水を撫でる「主よ、御許へ――」の歌声。
沈んだのは二時十五分だったという記述もある。
一直線に水中に突き刺さって、暫らく空と海との間に懸かって見えた。その儘十五分間じっとしていた。取り付けた機械類等が急湍のように船の長さを船首まで走って、其の物音が轟然と遠くまで耳を聾した。