후리가나로 읽는 일본 고전
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せかいかいきじつわ「じょぶん」
世界怪奇実話
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話(せかいかいきじつわ「じょぶん」)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 251,305자 · 498화면
夜が更けたと言っても、まだ九時頃だった。元へ返って、もう一度キュヴァリエ少将の記述をマタン紙から引用すると、「皆は臆病な女学生のように額部を凝視め合って、難破船の船員のように闇夜の甲板に集まっていた」
実際、その時、社交室の時計が九時を打っていた。このことは、例のドュッセルドルフの聯合通信員がデニュウ博士から取った談話にも博士は確かに九時打つのを聞いたとある。
その九時打つのを聞くと、ジャネット夫人は、急に何か思い出したように、甲板下の自分の船室へ降りて行った。一同は、其の快活な、と言うより、むしろお転婆なジャネット夫人が、口笛を吹き乍ら、大きな音を立てて階段を駈け下りて行くのを耳にして、しきりに話しを続けていた。眠りの早い対岸の田舎町エメリッヒの灯が、一つ二つ消えかけていた。
ジャネット夫人が船室へ這入って直ぐ、やっと椅子にでも腰掛けたかと思う頃、欠伸のような微かな、長い声が上って来て、甲板の人々の耳に這入った。
「聞えましたか、今の」一人が訊いた。「誰かが呼んだようですよ」
「ジャネットさんの声でしたわ、確か」
「何うしたんでしょう――?」
鳥渡耳を澄ましてみたが、その儘何の物音もしない。