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にっき
日記
宮本 百合子
09 一九二三年(大正十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页
十月二十六日
一夫さんを送り出すため五時に一時起きる。五時では、まだうす明りも漸々と云う暗さだ。夜の闇先へ行けば行くほど深し。暁のやみ――明るみとところまだら。底から迫る光あり。
十月二十六日(金曜)曇
朝、『朝日』にやる感想を書き始めた。が思うように進まず。がまんしてじっとこたえて居るうちに、その形式をぐっと変ったものにすることを思いつく。つまり自分の云い度い要点だけをつかみ出して活かし、印象つよい対話、読む戯曲的排置にする方がよかったのだ。神々の名その他を考えて一日かかる。
夜。さいの英語の稽古はじまる。
買物がてら歩き青山五丁目近くまで行って、祖母上の袖を作る毛糸などを買う。
西洋の女はよくあみものにクレージーなのがあるが、やり始めて見ると、面白いものだ。が断念して手につけず。ああ云う細かい、精力のエキスターナルに浪費され、一方雑作なく一つまとまる仕事は本当の仕事に根気なくさせる不安がある。
『女性』に小山内の劇、あれ丈芝居を知って居ても、此那ものを麗々しく出すのか、又知りすぎて居るから斯うなのか、わる達者で舞台の変化にばかり向けて居る。
十月二十七日(土曜)晴