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にっき
日記
宮本 百合子
09 一九二三年(大正十二年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页
六月十九日
僅かの点だが、モデルがないと云うことだ。
書き易さの点から云うと、自分の周囲で、自分ではない者が一番よい。
午後から二人で林町に行く。幾月ぶりのことか、半年位になるだろう。十一時迄居る。国男さんが肋膜から水をとったと云う。母上、女中の居ないことや何かでヒステリックになり、バシバシ国男に云い気の毒に感じた。
六月十九日(火曜)曇
「スーラーブ」。やっと一がとにかくまとまった。書いて居て額がかきたいように感じては決してよいものは出来ないと思う。心ひろく、体ゆたかに、ゆっくり心から、糸を繰出すようにして行かなければいけない。頭と筆との連絡より、筆と心がしっくりすることが大切である。暫く小説を書かないと、そのいきがうまく行かず、心と筆、気分と文字が生硬にはなればなれになろうとする。
大切、大切。
又、自分の所得税のことで、告知書が来た。A、その為いろいろ面倒を見てくれる。先方の云い分は創作などをする人は正確な帳簿などはつけて居ないからと先の見積りを強いるらしい。彼が細かくつけておいてくれたのは幸。
ラフィヨフ、梅雨で体の工合わるく来られないと云う。無理もない。