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にっき

日記

宮本 百合子

09 一九二三年(大正十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页

青空文庫

十月二十五日

去年の冬体が悪かったので、要心の為と云うので私も反対は出来ないが、弱さで身を庇うことから、心持まで、卑怯になることは悲しい。一夫さんとしてはたのまれていやと云えまいから、なお気の毒なのだ。

夜、風つよし、白い叢雲が吹きちらされていく空に、月が冷たく、寧ろさむく、照って居る。

○災害救済婦人団は、講演四ヵ所で、五百円を得た。

十月二十五日(木曜)晴

婦人団からパンフレットを出す計画又もち上り、多分実行するのだろう。自分はあのためにはどちらかと云えば楽な位置に居、他処に出歩くこともしないから、せめて短篇位新らしいのを出さなければ気の毒と思い、材料を見る。二十枚位のは却ってむずかしい。ノートをくって居ると、あのスイートピーのことを思い出し、それときめる。二三日祖母上が来られたり外出しつづけたりしたので、ゆっくり机に向ってものをよみ書くことうれし。少しなおざりにされて居た日記もまたつける。

『女性』に、里見※(「弓+享」、第3水準1-84-22)氏、何事にも動じない偉さを震災に対する感想として書いて居られる。待合かどこかの二階で小さい体をころがされ、起き上って、自若としたのかと思うと微笑。