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にっき

日記

宮本 百合子

09 一九二三年(大正十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页

青空文庫

五月十六日

時に、一粒の愛、ジェニュインな金剛石の輝きは、高い遠い光明を放って、生活全体を、赫耀たる光体にする。

◎

昨日、父上、夕飯にいらっしゃった。Aが、買ったラール、アンティック、ドラパアス、その他の画を見せてあげるからおいで下さいと云ったのだ。

お菓子やバラの花やレモネードの瓶づめのようなものをお土産に持っておいでになる。

A、藤岡先生のところへ行った戻り道、丸の内ビルディングの中の Caf※(アキュートアクセント付きE小文字) 何とかによって、肉などを買って来る。父上が、私共の家で夕食など召上ったのは、此が始めてであった。私共が東京に住んでもう三年ほどになるが。

自分に、父上の心持がよくわかる故か、彼がうちに来ては何となく落付かず居心地よくないのが知れ、苦しく、寂しい心持がした。

Aが、エンターテンスするに下手で、自分の心持だけで進み、せわしく、小刻みに、ゆとりなく動くから。

特に、昨夕は、何だかワインに少し酔ってでも居るようで、顔つき、素振り、一層粗野に内心の重みなく見え、厭な心持を起させた。

五月十六日 曇

自分の心を反省して見ると、実に相反する矛盾の多くを持って居る。