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にっき

日記

宮本 百合子

09 一九二三年(大正十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页

青空文庫

十一月一日

十一月十二日

十一月二十六日

きのう母上の誕生祝であったのに、行けなかったので、今日行った。バラの花をお土産に持って。近頃、私のゼイタクは、一二輪のバラの美しい花をテーブルの上に置くことだ。三つ、持ってかえったら、家の蕾が二つ、剪ってあった。買った方が香はよい。只このうちの花の色と云ったら! バラの高貴と愛らしさを充分あらわして居る。

十一月一日(木曜)晴

室内で七十四度と云う暖かさだ。心持がわるい程熱い。九月一日以前にもひどい暑気がつづいたので、おそろし。まして祖母アサカに、父上大阪に行くと云うので不安なり。

余りあついので、かたかった昨夜のバラの蕾すっかり開ききり、夜の間にしぼんでしまった。

十一月十二日(月曜)

救護会のために「小景――ふるき市街の回想」と、「母の膝の上に」This Freedom の紹介を書き終り三宅氏に渡す。

十一月二十六日(月曜)

『中央公論』に「顔」を送る。

大学正門前でAと会い、松屋で原稿紙を買って、青木堂による。自分は青木堂の二階に上ったの初めて。塵っぽいがさがさしたまるでバーレンなところ。

それでも、夜など、煙草の煙のこもった、ガタガタの床、ハダカの卓子で、学生達が気焔をあげるのによさそうなところだ。