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しょうわゆうげきたい

昭和遊撃隊

平田 晋策

「少年倶楽部」1934(昭和9)年1月号~12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 102,452 字 · 208 页

青空文庫

月夜の怪

「おい、ぐずぐずしていると、また、閉め出されるぞ。」

武田大佐は、弟の頭を軽くたたいた。

「そんなこと、僕一どでこりこりですよ。」

清君は、頭をかきかき司令塔の中へ入った。

やがて、『富士』は、しずかに、渦巻を残して沈んで行った。

月夜の怪

秘密の洞門をくぐって、碧海島を出ると、ぽっかりと月の明るい海へうき上り、そのまま北へ北へ進んで行く。

全速力三十五ノット!

駆逐艦にまけぬ快速力である。しぶきの雨が、銀の玉となって、舳に散る。

清君は、木下大佐から形見にいただいた短刀を腰に吊って甲板に、いさましく仁王立になり、しぶきにぬれている。

一時間ばかり、走ると、こんどは又潜航だ。

水中速力二十五ノット!

これなら、どんな戦艦でも追跡できるぞ。

世界中の技師が、いくら苦心しても、水の中では、十一、二ノットより上の速力は出ないのに、いま、『富士』は、二倍以上の快速力で走っているのだ。

黒潮におどる鮫の群も、この怪物には驚いて逃げてしまう。

「兄さん、すごいですね。」

清少年は、驚いて、兄博士の顔を見上げた。

「なあに、もっと驚くことがあるぞ。」

武田博士は、長くのびた髭の中で、白い歯を光らせた。