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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
自分の知らない疲れが結局は一番決定的な意味を持っているのだとしみじみ感じました。そして又この頃は落着いて来た結果、自覚される疲れと云うようなものも実際に有って、今月一杯はうんとぼんやりして暮そうときめていた処でした。
色々細いこと迄気づかって戴いて、本当にありがとう。だから、二枚以内はお躾けとしてではなく有難く合点いたします。この間うち、しきりに長く話したかったには、色々の気持の理由が有って、考えてみればいくら長く長く話したって矢張り話し切れない心持から云っていた処もあり、一方には自分の頭がどの位正常であるか自分にたしかめたい処もあったと思います。病院のことは、今の私には家での方がずっと良いらしい様子です。食餌のことも病人の特配を受けているし、卵・バタ・果物類は色々な人が心配してくれて、何とか今迄続いて来て居りますから御安心下さい。目の方も九月末にはちゃんと調べます。それ迄は体の基本的な条件を整えるためにかかるでしょう。タオルのことは大笑いだけれども、私にしてみれば、やっぱり机の上にかけて眺めるだけの値うちが、新しい意味として籠っているわけでしょう? 今見れば全くきれいよ。