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ごくちゅうへのてがみ

獄中への手紙

宮本 百合子

09 一九四二年(昭和十七年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页

青空文庫

十一月十日

十一月十一日

でもビトンはあんまり悪口は言えないわね。あ〔数字不明〕出したんだから。

十一月十日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 堀井香坡筆「ひととき」の絵はがき)〕

何となく冬めいた日です。寒いけれど風邪は大丈夫でしょうか。咲枝さんはまだうちです。大同書院という本屋から瀧川政次郎著『法律からみた支那国民性』というのが出ましたが御覧になるでしょうか。御返事下さい。

私は注射をやめました。やめ時らしくて先生から言い出されたから。何となしのんびりです。セザンヌの伝記を読んでもらい始めました。何しろ一ヵ月振りの本だから仲々面白い。でも視野が比較的狭くて歴史のモメントを深く個人の上にみないからその点は喰い足りず(改造文庫)。赤チャンの名前が男の子はまた一苦心で、食堂のテーブルが賑わいます。今、照二郎というのを思いつき、かなりいいと思います。字面も悪くないでしょう。

十一月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(代筆 封書)〕

十一月十一日

もう北側の障子をあけると冬の風が吹きこみます。三十一日に書いて下すって以来、御無沙汰?

風邪をお引きになったのではないでしょうね。