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ごくちゅうへのてがみ
獄中への手紙
宮本 百合子
09 一九四二年(昭和十七年)
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,952 字 · 130 页
十二月十一日
お母さんも薬のことはお喜びでお手紙がありましたから。電報の御返事取敢えず。風呂の釜がなおることになって大喜び。
十二月十一日 〔巣鴨拘置所の顕治宛 駒込林町より(封書)〕
ペンさんがヘントウ腺をはらしたというので来ず、うちは泰子さわぎて眠らない人ばかり。私は手紙が書きたくて気がもてず、二階へ来て、こんなかきかたをして見ます。柔かい5Bでこうやって書くのは割合楽よ。あなたもこの間うちはあちらこちらとお忙しかったのね。隆治さんと母上とからけさおてがみで、私の細かいことづてもつたわり、物も届いた様子です。七日に小包が間に合わないから、速達で申上げたものを広島で買っておわたし下さいと電報したことや、航空便のダメなこと申しあげましたね。これをかき初めていたら、太郎が九日ごろのお手紙もって来てくれました。それともこれは十日におかきになったのかしら。
あなたも永いこと御不自由ですみません。自分でいろいろ出来ず、電話かけてもまだはき気がしたりして本当に厄介ね。毛布が送れて一安心。どてら、いつ縫って来るつもりでいるのでしょう! そうそう牛込の荷物ね。あのなかにはオリーブ色、細かい格子の裏の絹の丹前があっただけでポンポコはありませんでした。