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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
君、幾つになる?」
「二十四になりました」
「二十四?……ああ、辰年じゃな。若いなあ。これからじゃ。そっちの……」
名前を思いださないらしいので、山下が横から、「森新之助と申します」と、註釈した。
「ああ、森君か。……君は?」
「二十四です」
「玉井と同い年か。どっちも、辰じゃね。辰は龍、威勢のええエトじゃ。わしは、慶応三年生まれ、兎じゃよ。三十七になる。兎じゃあ、二匹の龍殿の前では、勝負にならんなあ」
吉田は、そういって、高笑いした。
しかし、実際は――お前たちのような青二才が、二人かかって来ても、取るに足らん。……吉田の哄笑は、はっきりと、そういっているように、金五郎の耳には、聞えた。
「まあ、顔を見知っといてくれ」
吉田は、左右にいる腹心らしい子分たちを紹介しておいてから、
「どうじゃね? 玉井も森も、その気があったら、いつでも、若松に来て、わしの家に、草鞋をぬぎない」
と、つけ加えた。
「おツタ、盃をやってくれ」
その吉田の言葉で、さっき、金五郎が道後の女とまちがえた銀杏返しが、銚子をさげて、にじり寄って来た。
「兄さん、ひとつ」
金五郎は、盃を受けとったが、