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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
死と夢
「知らんなあ」
「知らんはずはないが、……」
(お京のことをいうとるんじゃ)
金五郎にも、マンの皮肉はわかっていた。けれども、白ばくれて、
「さあ、誰じゃろか?」
「お江戸の方角に、居るはずじゃけんどなあ」
「わからん」
「オキヨウキトク「スグオイデコウ」五ロウ」――こういう電報が来たのは、金五郎とマンとが、久しぶりに、のどかなさしむかいで、そんなとぼけた会話をとりかわしているときであった。
「お父さん、行ってあげなさい」
そういうマンの許可を得て、金五郎は、その夜の急行で、上京した。
数日が、経った。
君香が、手土産を持って、たずねて来た。
「おマンはん、しばらくのお別れに来ました」
「お別れ、って?」
「なに、ちょっとの間だすけどな、一二ヶ月、うちのと、別府温泉に。背中の弾丸はとれたけど、後が大切や、高山先生がいやはるよって、養生だす。それに、喧嘩のほとぼりもさまして来う思て。今度の喧嘩は、向こうから仕掛けて来たことやさかい。こっちにお咎めはないというても、やっぱりなあ。ほんまに、若松て、うるさいとこや」
「ほんとにねえ」
「金さんは?」
「東京に行ったわ」
「なんしに?」