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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
「結構です」
八幡製鉄所に大きな仕事を持っている請負師、藤本喜八郎の長女絹子を、勝則の嫁にという縁談なのだった。マンも大乗気である。誰より、仲介役の大庭春吉が熱心で、「自分も幾組も取りもったが、こんな良縁はまたとない」と、自慢しているくらいであった。勝則も、この話を聞かされて、
「お父さんと、お母さんとに、委せます。ええようにして下さい」と、いったのである。
金五郎は、唸った。噴火山のような溜息をついた。
(友田のいうのは、ほんとうじゃろうか?)
帰国したら、すぐ調べてみねばならぬ――と、狼狽した気持になった。
翌朝、「筑紫館」から、晩春の空に、富士は霞んで望まれた。
洗面所で、歯を磨いていた金五郎は、友田喜造から肩を叩かれた。
「お早よう。昨夜は失礼。今日は、議会に行くことになっとるが、風呂の中で話したことな、民政党入党のこと、君から、直接、吉田親分に返事してくれな。子供の使いじゃあるまいし、そうそう、同じ返事ばかり、おれはされん」
そういい捨てると、答も聞かず、スリッパを鳴らして、去ってしまった。
横にいた井上安五郎が、
「吉田さんは、いい子分を持っとるわい」