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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
は当選した。
「もう、こげな気色の悪い選挙は二度といやですばい。最後のドンヅマリまでひやひやして、命がちぢまる。あちこち、同志に票を分けて、結果からみりゃあ、作戦どおりといえるかも知れんけど、まったく、危い綱わたりじゃ」
不服そうに、そんなことをいいながらも、大石鶴松は、さすがに、にこにこしている。
金五郎は、しかし、残念そうである。
「わたしの力が足らんで、原田君や、中村君のような有能の士を落してしもうた。結局、惨敗じゃなあ。民政党絶対多数、これから先が、思いやられるたい」
マンも、はがゆそうに、
「ほんとに、汚い選挙じゃ。原田さんじゃないけんど、解散してやりなおすがええ。こんなことで議員になった人たちで、なんで、ええ政治が出来ようか。というて、何べん解散しても、政治家ちゅう者は、同じことばっかりのくりかえし、ようなるという当てもないけんど。迷惑するのは、市民だけやわ」
開票の翌日、勝則は、東京に向かって出発した。
「いつごろ、帰る?」
と、マンはきいた。
「二三ヶ月、暇を下さい」
「そりゃあ、お前の気のすむまで、旅して来てもええけんど、……家のことも忘れんようにな」