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はなとりゅう
花と龍
火野 葦平
花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页
いずれ、勝則の次には、自分たちのために、この青春の組織が動くものと思っている。
期成同盟は、慎重に、作戦計画を練った後、猛然と、活動を開始した。
光丸は、座敷牢に閉じこめられているとしても、どんな連絡でもつく。姉光三がこちらのスパイだからである。八方眼で、地獄耳の辻木夫婦も、そこまでは気づかない。それどころか、光三は自分の方の味方とばかり信じきっている。外出時の監視員に、光三をつけるのであるから、作戦の第一歩は、すでに、成功しているといってよかった。
準備がととのうと、決行した。
正午過ぎ、光三が、光丸を裁縫稽古場に同道した。三十分ほどいた後、髪結いに行く、といって、出た。
洗濯屋の星野順一が、クリーニング工場の裏に、二台の人力車を用意していた。
若松駅や、若戸渡船場から乗ると、すぐ、ばれる。二人の乗った俥は、停車場のすこし先、金比羅山の下にある鉄道検車所に行った。そこに、鉄道員岩下喜代光が待っていた、星野から、光丸をうけとった岩下は、筑豊線飯塚行の貨物列車に、女を乗せた。炭坑行の坑木が積んである、有蓋貨車なので、光丸の姿は見えない。乗換駅の折尾で、光丸を降した。