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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

「お父さん、あれよ、あれ、ストライキ、もう、その一手よ」

「それがなあ、……」

「勝則、お前、なんのために、仲仕の組合作ったの? こういうときに、ストライキやらんで、組合の役はないじゃないか」

「それは考えとるんですが、……」

「はがいいのねえ。……こんなときのためばっかりに、いろいろなこと、我慢して来たとに、……」

無念そうなマンの眼に、涙が浮かんで来る。

会議と、会見とは、なお、幾度となく、つづけられた。すべてが、徒労に終った。

各新聞の論調は、ほとんど、仲仕側の要求を正当なものとして、支持した。

原田雲井の「若松新聞」は、連日、石炭商側の非を鳴らした。そして、「狡猾にも、請負業者中のスキャップ、吸血鬼ともいうべき暴力団長と結託して、哀れなる沖仲仕の膏血をしぼる」などと書き、暗に、友田喜造を諷した。「九州民報」では、高野貞三が、さかんに、論陣を張って、「全若松市民は、飢餓に瀕して、洞海湾の藻屑とならんとする、数千の沖仲仕救済のために起て」と、輿論の喚起に努めた。

八月十七日、争議本部で開かれた小頭組合総会で、遂に、怠業を行うことが決議された。

「この作戦の結果如何が、争議の勝敗を決定します。