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はなとりゅう

花と龍

火野 葦平

花と龍「読売新聞」読売新聞社、1952(昭和27)年6月20日~1953(昭和28)年5月11日<br>あとがき「花と龍(下巻)」新潮社、1953(昭和28)年7月31日<br>解説「火野葦平選集 第五巻」東京創元社、1958(昭和33)年

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 410,131 字 · 824 页

青空文庫

各組は、一人も残らず、足なみを乱さぬように願いたい」

争議団長の金五郎は、それから、列席していた共働組の小頭、高司清市にいった。

「高司さん、わかりましたな?」

「よくわかっていますよ。小頭組合が全体で定めたことを、どうして、わたし等が破るもんですか。……なあ、みんな」

高司は、そこにいた七八人の共働組の小頭をかえりみた。

「そうとも、そうとも」

「団結は崩さんよ」

金五郎は、軽く、頭を下げた。

「ありがとう。最後の戦いじゃ。あんた方が一致して下さりゃあ、この争議は勝ちです」

翌十八日から、怠業が実施されることになった。人員と時間とを制限して、作業能率を半減すること。

ところが、結果は、まったく、金五郎の予想を裏切った。いや、予想どおりであったというべきか。

聯合組、三洞運輸、山九組、大高組、共盛組、等の小頭と仲仕は、すべて、決議を守ったのに、共働組だけが、従前どおりの作業をした。当然の結果として、荷主は、協定を無視して、仕事を、続々と、怠業しない共働組へ持って行く傾向を示した。

秩序は混乱し、不穏の気が、海上にただよって来た。

金五郎は、狼狽した。

(友田喜造の命令じゃ)