轻松读懂日语经典作品
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かげおとこ
影男
江戸川 乱歩
「面白倶楽部」1955(昭和30)年1月号~12月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 154,133 字 · 310 页
その大学の図書館で各方面の書籍を乱読したばかりであった。
かれはまたあらゆるスポーツを好み、乗馬、自動車の運転、飛行機の操縦なども会得していた。非常に運動神経の発達した男で、あるときは曲馬団にはいって空中曲技を習い、ほとんど一人まえの曲芸師になっていた。
かれがどうしてそんな思想を持つようになったか。精密には遺伝や幼時の環境を調べてみる必要があるが、筆者にはそこまではわかっていない。おそらくは、持って生まれた性格と、大学時代に乱読した書物の影響であろう。かれは人間というものの探求を生きがいとするようになっていた。だが、その探求の意味が、かれの場合には、まったく風変わりな異様な角度のものであった。
物には表裏があり、人間にも表裏がある。かれはその裏側のほうの人間を探求しようとしたのである。それも社会学的、心理学的にではなく、しいていえば犯罪学的に探求しようとした。しかし、普通犯罪学者がやるような一般的研究ではなくて、これと目ざした個々の人間の、世間にも、その人自身の家族にさえも知られていない秘密の生活を探求することが、かれの生きがいであった。
この探求は自由主義者には蛇蝎のごとく憎悪せられる種類のものであった。