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にっき

日記

宮本 百合子

09 一九二三年(大正十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页

青空文庫

十二月二十五日

夕方、林町に戻りAと会い、食事を一緒にし、十二時近くかえる。

ひどい Fog で、林町の前の通りまるで見えず。岡部氏も見えた。彼は確に、私の思って居たより清い――未通女的な――ところがある。何も彼も知って大らかと云うのでなく、ややキャソリック的に。

十二月二十五日(火曜)

クリスマス day 朝Aと二人で青山の三越にゆき彼のマント代として何とか云う人にあげる商品券とおわんとを買う。おわんを買うのは、私共の結婚以来これで二度目だ。せんのは、肴町の角の漆器店で買った。(あの時分の家具を買うエキサイトメント!)

教文館に行って見たら休み。

Aの兄、夜九時すぎにつく。洋服をき。みちがえるようだ。彼の出京は始めてなのだが一体にAほどせかつかず、みっしり、しんなり(福井方言)かまえて居るのでよろし。Aのように余裕なくせかせかするのが二人になっては大変。

Aの兄の居る間夜は本などよめないから、とし子にやる肩かけを喋りながらあむことにする。

家族的特質と云うのは面白いものだ。Aの一族は皆一つの共通した傾向を持つ。陰性に属す――食事なども、積極的に味い、うまい、まずいを云い賑かにたべると云うのでなく、何と思ってたべて居るのか、と云う風に黙ってたべる。