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にっき

日記

宮本 百合子

09 一九二三年(大正十二年)

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 65,193 字 · 131 页

青空文庫

一体、もっともっと自然であってよいのではないか。手の動かしかた、足の運びかた、皆圧え、控えたところが見え、音楽などを聞くに、あれで魂に入るかと怪しまれる。

◎

厨川白村氏であったか、何かでチェスタートンの諷刺文に就て紹介されたのを読んだことがある。以来、私の頭から、その名が離れずに居た。先日、丸善に行き、西村氏に The unknown と云う、天文研究の発達史と云うような趣味的な本を買ってあげた時、偶然 Eugenics and other Evils と云う書籍を、新着本の部で見つけた。著者を見ると、チェスタートンで、紛うかたもない丸肥りの彼が、モヤモヤの髪の下に、心持三白の、射通す而も人間的な眼を耀かせて居る写真迄ついて居る。題目が、最近自分の心に、或問題と――良心の方から――感じられて居ることだし、著者を見ると、一層捨て難い。買って来た。

序を読んだだけで強く感じたことは、彼の文章が如何にも直截なことである。英語が、斯うもかさばらないものか、と云う心持。語類で知らないものさえなければ、眼で読む文字が、水のようにすうっと真直に腹の迄まで流れ込む。